最終回で、出産のシーンがあった。
宣さん曰く「わが家の場合は、夫の第一声が これかあー だから」と・・・・・
ちょうど出産を迎えた時期、仕事で出張しなければならない時期と重なった。
生れる日の数日前、産婦人科の先生の出産するかもしれないという言葉を期待して、
一晩促進剤を投与したりして早期出産を試みたが駄目だった。
その後、已む無く僕のおふくろを呼び寄せて出張した。
出張先では思わぬクレームが続出してなかなか帰れない。
帰りの夜行列車に疲れ果てて乗り込み、ちょうど淀川を渡る時刻に娘が誕生した。
もちろん、会社へ帰ると報告もそこそこに病院へ直行した。
宣さんが横たわるベットの横に小さな赤ちゃんが寝ていた。
それを見た僕は安心感と疲れが一気に出て、つい「これかあー」と呟いてしまった。
別に落胆して出た言葉でも、不満を抱いて出た言葉でもなく、
弛緩性出血で生死を彷徨った宣さんの事を知らなかったし、
不用意に出た言葉であった。
横に居たおふくろが、直ぐ病院の食堂に僕をつれて行き、
出産時の模様を僕に告げ、もし宣さんが助からなかった如何しようかと、
一晩中思い悩んだと涙をこぼした。
その後、ずっと機会あるごとに宣さんから「これかあー」をネタに冷やかされる。
今朝も、テレビを見ながら宣さん曰く 「あの時、お産に立ち会っていたら、
ひょっとしてその後の人生が変わっていたかもしれないね」と・・・・・・・